▼テレビ番組でも有名な、竹下歯科　竹下和人先生のお話です。

▼最近『キシリトール』という言葉を良く耳にするようになった。このキシリトールは、白樺などの樹脂から抽出される物質に水素を加えて作られる天然素材の甘味料で、砂糖に近い自然な甘さを有している。

虫歯は虫歯菌であるミュータンスが糖を発酵させて作る酸によって歯が溶けることが原因の一つとされているが、このキシリトールは殆ど酸になることがないだけでなく、虫歯菌の働きを抑える効果もあることが知られている。

▼海外では虫歯を作らない人工甘味料として食品添加物として広く使われていたが、日本でも平成９年から食品添加物として認可され、盛んにキシリトール入りという語を使うようになった。
しかし、キシリトールの他に砂糖の入った菓子やチュウインガムをみると何のためのキシリトールかわからなくなる。

▼ちなみに、キシリトールの正式な医学用語は、「CFS：Curb Fermentation Sweetness（発酵抑制甘味料）」であり、「キシリトール」と言う単語は日本人による造語である。

歯科医の間では、「歯軋り」のことを「キシリ」と略す。これは、歯軋りが「軋る（かたいものがこすれあって、音が出る）」に由来していることからで、つまり「キシリ」とは日本の歯科医が使う俗語なのだ。

それが発展し、「歯軋りの酷い人は歯垢の溜まり具合もまた酷い」事から、近年「歯垢＝キシリ」と言うイメージで使用されるようにもなってた。それが今日の「キシリトール」へと繋がるのである。

▼今現在キシリトールと言う単語の方がCFSよりも広く使われている理由の一つに、日本人の英語力の弱さとそれにつけこむ企業の情報戦略が少なからず見られるのは間違いないが、問題なのはやはり名称よりも、前述した「キシリトールが入っているから大丈夫」と言うネームバリューによる粗悪品の販売だと思われる。